渡良瀬遊水地 WATARASE YUSUICHI

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渡良瀬遊水地の自然

遊水地の自然環境の特徴

渡良瀬遊水地の自然環境は緑豊かな広大なヨシ原が特徴で、遊水地全体の面積の内、2,500haが植生におおわれており、植生の約半分がヨシ原で、栃木県の「すぐれた自然」の一つに数えられています。これほどの環境を持つヨシ原は稀で、全国でも最大級の規模を誇り、本来の低地の自然環境が保全されているところとして、貴重な存在となっています。その広大なヨシ原には、多数の動植物が生息・生育しており、植物で 約1,000種、鳥類約260種、昆虫類(陸上、水中)約1,700種、魚類約50種もいます。広大なヨシ原や樹木、池沼には多くの野生生物が暮らしていて、キツネやタヌキ、それにタカの仲間であるチュウヒやサシバ、チョウゲンボウなどがいます。これらの野生生物は、かつては全国各地に生息していたものの、近年、生息環境の減少によりその数は減り続けています。現在関東地方でこれほどの豊かな生物相を維持している地域は極限られており、大変貴重な場所となっています。これは、遊水地としての機能を保持するために、広大なヨシ原や沼をごく自然にしてきた結果によるものです。

まさに、渡良瀬遊水地は「生きている自然の博物館」ということができるでしょう。

(更新日:2009.6.22)

ヨシ原に代表される渡良瀬遊水地の湿地環境は「多様な生き物を育む遊水地」であり、遊水地固有のチュウヒを頂点とした生態系ピラミッドが構成されています。

▲遊水地生態系ピラミッド

▲豊かさを象徴するチュウヒ

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渡良瀬遊水地の野鳥

260種(亜種3種含む)の野鳥を確認

渡良瀬遊水地の半分はヨシ原におおわれ、そこには広大な湿地が広がっています。渡良瀬遊水地では、これまでに約260種の野鳥が確認され、そのうちの58種は国指定の絶滅危惧種です。一つの地域で、これほどたくさんの種類が確認されるのは非常に珍しいことです。

日本屈指のワシ・タカ類の越冬地

冬の遊水地では、ハイイロチュウヒやノスリなどワシ・タカ類をたくさん見ることができます。これまでに25種のワシ・タカ類が確認され、それぞれの個体数が多いことも特徴の一つです。特にチュウヒの越冬地としては日本有数で、渡良瀬遊水地は食物連鎖の頂点にいるワシ・タカ類の日本屈指の越冬地になっています。

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渡良瀬遊水地の植物

貴重な植物の種類がたくさん

渡良瀬遊水地ではこれまでに約1000種の植物が確認されています。そのうち60種類は国指定の絶滅危惧植物です。1つの場所に、これだけたくさんの種類の貴重な植物があるのはとても珍しいことです。

貴重な植物の群生地

春の遊水地では、トネハナヤスリやエキサイゼリがたくさん群生しています。どちらも全国的には希にしか見られない植物です。その他にも、ハナムグラやヌマアゼスゲ、ノカラマツ、タチスミレなど、他の場所ではあまり見ることができない植物が、ここでは群生しています。このように渡良瀬遊水地は貴重な植物の群生地になっています。

豊かな植物環境がある秘密

ヨシ焼き

渡良瀬遊水地では、毎年3月下旬になると広大なヨシ原を一日で焼く『ヨシ焼き』が行われます。枯れたヨシ等を焼くことによって、害虫を駆除し、ヨシを育ちやすくするとともに、ヨシが成長する前に成長する春植物の発芽を促進するなどの効果があります。渡良瀬遊水地の豊かな自然を守り、未来に伝えるために『ヨシ焼き』は、大切な役割を担っています。

土の撹乱

渡良瀬遊水地では、明治まで住民が土地を耕すなど土壌攪乱や、その後の土木工事による掘削により、土の中に眠っていた種子が息を吹き返しています。土を掘ったり、かき回すことも渡良瀬遊水地の健全な里湿地を維持しています。

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渡良瀬遊水地の昆虫

貴重な昆虫の宝庫

渡良瀬遊水地はヨシ原を中心とした湿地が広がり、これまでに約1,700種の昆虫が確認されていますが、そのうち62種は国指定の絶滅危惧種です。また、39種(国と重複するものは除く)は栃木県の絶滅危惧種ですが、ムモンチャイロテントウやスゲノハラジロヒメゾウムシなど種類によっては遊水地で普通に見られるものもいます。そのため渡良瀬遊水地は湿地性の貴重な昆虫の宝庫といわれています。

ワタラセ独特の昆虫たち

遊水地には、ワタラセハンミョウモドキやワタラセミズギワアリモドキ、イタクラキノメイガなど渡良瀬や周辺地域の名前のつく昆虫が5種います。またシベリアユミアシケシキスイ(日本では渡良瀬遊水地での発見が初記録)やコウノハバチのように、氷河時代に分布を拡大し、暖かくなったいまでも生き続けているユニークな昆虫が生息しています。

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渡良瀬遊水地の魚

栃木・群馬両県にすむ魚の半分以上が生息

遊水地には44種、円口類のカワヤツメを入れると45種の魚がすんでいます。その数は1700種以上の昆虫や260種の野鳥に比べると、ずいぶん少ないようにも思えます。しかし栃木県や群馬県にすむ魚は総数で55~62種であり、遊水地では両県にすむ魚の約70~80%が見られることになります。

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